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舞踏家・大倉摩矢子 Butoh Dancer Mayako Ohkura

舞台写真
   Photo : Takahiro Kubo    
 
 
 私は『Whenever Wherever festival white 2015 ー不可視の身体ー』のキュレーターをさせていただいています。

2015年1月『アジア的身体について』をテーマに開催されたプレイベントでは、私は2つのプログラムを企画しました。
みなさまからとてもご好評をいただきました。

ここにご紹介いたします。
 


 【企画1】

シンガーソングバトキ(馬頭琴)ニストとして精力的に活躍されている
フルハシユミコさんをお招きして

「モンゴルの伝統音楽――モリンホール(馬頭琴)とオルティンド(長い唄)」を披露していただいたプログラムでは、フルハシさんの素晴らしい演奏と歌唱。そして会場の皆様と一緒にモンゴルの発声法の練習も楽しみました。

アフタートークではチベット文化史研究家の佐藤剛裕さんとフルハシさんの面白いトーク。

フルハシさんのお話と言葉には、踊りに関わる誰もが共感できる身体性、身体感覚に満ちた表現があり、伝わってきます。

また、実際にモンゴルで修行をされているフルハシさんが出逢い、体験したモンゴルの風習など、興味深いお話も盛り沢山でした。

イベントはとても盛り上がりました。
心より感謝しています。




 【企画2】

鯨井謙太郒さん[ダンス]
藤田陽介さん[声、自作パイプオルガン]
鮫島圭代さん[墨絵]

に出演していただいての「音・身体・墨――共鳴からうまれる滲み」(仮題)のパフォーマンス。
(2015年12月開催のwwfes本編にむけての第一回目の試演会)

このパフォーマンスは、試演会から本編までの創作の現場とプロセスも、作品の一環として発表していきます。

試演会でも、フォトグラファーの久保貴弘さんが本番のみならず、稽古や本番直前の準備現場も撮影してくださいました。

今後もfacebookページやWebsite等で、創作プロセスを素敵な写真や文章、座談会など、みなさまに楽しんでいただける面白い方法で発表していきます。

ぜひ楽しみに、注目してください!


 
 Facebookページ:
WWFes 2015 参加 Nijimi - 滲み ー音・身体・墨の共鳴


なぜ私が、鯨井さん、藤田さん、鮫島さんのお三方に出演していただきたかったのか。
素晴らしい創造がうまれると直感し、ワクワクしているのか。
その理由を私がプレイベントのアフタートークでお話したことがあります。


↓↓↓

抜粋をこのページの最後に掲載しています。

ぜひお読みいただき、みなさまにもますます、このプロセスと舞台を
楽しんでいただけるお役に立てましたら幸いです。








 
 

     
     
  


 




 
 
   


  


















 




なぜ私が、鯨井さん、藤田さん、鮫島さんのお三方に出演していただきたかったのか。
素晴らしい創造がうまれると直感し、ワクワクしているのか。
その理由を私がプレイベントのアフタートークでお話したことがあります。ここに抜粋いたします。
ぜひお読みいただき、みなさまにもますます、このプロセスと舞台を楽しんでいただけるお役に立てましたら幸いです。


 
(2015年1月24日(土)wwfes white 2015 プレイベント プログラム1/アフタートークより抜粋)

私自身が数年前に禅宗のご住職で書家でもある方とコラボレーションさせていただく機会があって、ライブペインティングをしたんです。
http://mayakoookura.com/kouen1109.html

その場でご住職が私の身体よりもっと大きい和紙に具体的な文字ではなく、象形文字で「舞」をはじめいくつかの文字を書いていく。
そこで一緒に舞踏をしました。

パフォーマンスの始まる前、お客様が会場に集まられている間からご住職に墨を摺っていただき、その姿を演出効果としていれました。
その身体、所作、墨を摺る音。そしてその時間と会場内の空気がとても印象的でした。

もうひとつとても印象に残っているのは、実際に書と一緒に踊っていて感じたことです。
踊っているときのトランスに近いような意識や身体の感覚状態で、和紙に書かれて行く墨の近くにいると
墨の粒子がばあーって細かく振動しているのが感じられるんです。
一緒に自分の細胞もぶるぶると振動して、それによって自分の身体が動かされる感覚があったんです。

自分が動こうとしなくても、墨が振動している感覚が伝わってくれば、それで自然に身体が動かされて行くのです。

墨と身体との関係…、紙または布などに墨が描かれていくことと
まっさらな状態の身体に振動が、まるで墨が滲むように伝わってくる事で動かされて行く身体とが
自分の中でとても興味深い対象になったのです。

そこで、水墨画家として、ファッションの現場でも洋服や舞台衣裳に描かれたり、個展ではライブペインティングを行う等のご活躍をされている鮫島さんにお願いしました。

それから、ご住職のお話で印象に残っていることで、墨…ご住職の場合は書ですが、
墨の滲んでいるところがとても大切なのだと教えてくださったことがあります。
文字を書くときは、その線自体はこの文字を書くのだ、と書き手が意識して書きますよね。
けれど、そこからふわっと滲んでいく、その滲みというのは
その日の天気、気温、湿度などによってどうなっていくのかは人間には作り出せないものだそうです。
書の道を行かれている方は、その滲みの美しさを見るのだとおっしゃられていました。
その滲みの美しさと、余白やかすれのバランスだったり
書かれた文字の形だけではないのです。
滲みは一晩ぐらいかけてだんだん変化していくので…一晩かけないとその書の完成はわからないのだということです。

そのお話を聞いたときに、私自身が表現している「舞踏の身体」のことも感じました。

言葉や音…、
文字であれば、明確に書かれた線よりも墨の滲みみたいな感覚というのが、すごく舞踏の身体感覚として共通するものがあって
それは例えば、
音でいえば、ドレミファソラシドの音階に当てはまらない半音とか、半濁音とか…という感覚が舞踏の身体感覚にすごく近いんです。
あとは、あいうえを、かきくけこ、がぎぐげご、ばびぶべぼ、、ちゃんと50音の中に組み込まれる音、発声じゃない、
にゃにゅにょとか、にゅるにゅるとか、妙なグレーゾーンみたいなところがすごく舞踏をやっていると感覚として大事に感じられるというか。
それらも、気切り捨ててはならない大切な要素、感覚の一つとして感じられる。

そういった音で空間、空気を震わせる感覚を表現されている、私のまわりで一番その表現が素敵だなって思える方が、藤田陽介さんだったので、藤田さんにお願いしました。

鯨井さんにお願いしたのは、
鯨井さんはオイリュトミストで、ドイツのルドルフ・シュタイナーのムーブメントであるオイリュトミーを基礎にしていますが、
今までに私は鯨井さんと何度かトークやパフォーマンス等も一緒にしてきているので
言葉、身体、表現などのお話もいろいろと聞かせてもらってきています。とても信頼していまです。

オイリュトミーは、言葉の発声力や音の響きなどを身体に流すことで動くんですよね、空間との関わりとか。
そのオイリュトミーを基礎にされていて、なおかつ即興でもダンスができる鯨井さんは
ものすごく微妙な藤田さんのドレミファソラシドの譜面に当てはまらない音であったり
墨の滲み、意識的に書かれたかたちの外にも広がる滲みの感覚や
墨の粒子がぶるぶるぶるって震えるのが伝わる感覚、目には見えないけど振動が伝わる空気の感覚というのを
どういうふうにムーブメントに繋げて行かれるのかなっていうことを私自身も見てまなばせてもらいたいし、
鯨井さんにはとても素敵な表現が出来ると信頼しているからです。



お一人お一人の世界が振動し共鳴して、滲み合う空間にしていきたいです。
第一回目の試演会を終え、ここから先に見えて来ること、繋がる感じ、手応えがありました。
これから本編にむけてますます振動数を上げて行きます。
どうぞよろしくお願いいたします。

   
 
Facebookページ:WWFes 2015 参加 Nijimi - 滲み ー音・身体・墨の共鳴

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